あるところに、二人の青年プリピリッツィエとルーニエがいた。
プリピリッツィエはおもむろに言った。
世界は愛と悪で出来ている。
悪とは、いけない事、迷惑なこと、企み、いたずら、調和を乱すことだ。
そして、愛とは欲することだ。しかし、手に入れることではなく、それを発見することだ。
愛と悪、それがこの世を構成するには必要だ。
悪は敗れる。それが世界を運ぶ力学だ。
善はただ悪の妨害をするだけだ。
しかし、そこに善なる力が存在しなければ悪が敗れることはない。
ゆえに、善が生まれるのだ。
愛は打ち克つ。それが人を運ぶ力学だ。
愛は、欲するところから始まり、悪によってかき乱され、失うか、また失いそうになる。
しかし、その過程に割かれる時間は他の何よりも長い。
ゆえに、愛はすべての価値観に打ち克つことが出来る。
それが僕の得た真理だ。
それを黙って聞いていたルーニエは言った。
君の話は難しすぎる。